職場で経験豊富な先輩社員のアドバイスや知識に触れ、「すごいですね」と感心する新人や中途採用社員。その感動が次第に圧倒感へと変化し、自信を失いかけるケースが少なくないと感じます。今回は、若手がアドバイスをポジティブに受け止める方法や、先輩などの経験者側が気を付けたいポイントを掘り下げます。お互いが学び合える職場環境を築くために、どのようなコミュニケーションが必要かを考察します。
先輩社員の「すごさ」に圧倒される理由
職場で経験豊富な先輩社員の助言や知識に触れると、多くの若手社員が「すごい」「なるほど」と感じるものです。初めのうちは普通のこととして受け止められますが、時間が経つにつれて若手社員にとっては経験の差が心理的プレッシャーとなり、自信喪失に繋がる可能性があります。
先輩社員が豊富な知識を持つのは当然のことであり、むしろ持っていなければ職場の信頼性や業務の質に影響が出ます。しかし、経験の浅い若手社員に考える機会を与えず、一方的に助言を続ける場合、それは自己満足的な「マウント」と捉えられてしまうことがあります。その結果、若手の育成が進まず、職場の相互理解や成長が妨げられるリスクも生まれます。若手社員がこうした助言をどのように受け止め、未来志向で捉えるかが鍵となります。
若手社員へのメッセージ｜アドバイスを受け止めるコツ
健全な心構えを持つ
先輩社員の助言は、あなたに失敗してほしくない、もっと活躍してほしいという気持ちが前のめりになって表れるものです。彼らの基本的な意図は、あなたを成長させたいというもの。しかし、若手社員にとっては、知らなかったことや指摘された点に対し「なぜできなかったのか？」と過剰に反省しすぎるケースもあります。
行き過ぎた反省は、かえって自信喪失につながる可能性があります。むしろ、未来志向で「次どうするか」に焦点を当てる考え方が重要です。「今回はこうだった、次回はこうしよう！」というポジティブな心構えを持つことで、過去の反省を未来への学びに変え、自分を次のステップへと導いてくれるでしょう。
伝え方を工夫する
アドバイスを受けた結果をどのように伝えているでしょうか？こうなりましたという、結果だけを伝えていませんか？そうなると、先輩社員は結果だけを評価しがちですが、プロセスを共有することで、より深いフィードバックを得ることができます。
例えば、「先輩のアドバイスをこう受け止め、こう行動しました。その結果、こうなりました」と具体的に伝えることで、結果だけでなく努力や考え方についても評価してもらえる可能性が高まります。また、指示の受け止め方に齟齬があった場合、それを互いに共有できる関係性を築くことで、職場全体の成長につながります。お互いが納得感を持ちながら改善を進めることが、信頼ある職場環境を作り出します。
経験者へのメッセージ｜教える際のポイント
バランスの取れたコミュニケーションを目指す
職場では、提案型のコミュニケーションが一般的に良いとされています。しかしながら、若手社員にとっては、提案と指摘を分けて考えるのが難しいことがあります。特に目上の人からの提案は、指摘として受け止められる場合もあり、それが若手社員の負担になることもあります。
そのため、「どうしたい？」や「どうしたらよくなりそうかな」といった問いかけで相手の考えを引き出すアプローチを心がけることが有効です。そして、引き出した意見を「それいいね！」「それでいこう！」と認めることで、若手社員の積極性を引き出し、学びの姿勢を効果的に促進できます。こうしたコミュニケーションにより、先輩社員の助言がポジティブで建設的なものとして受け止められるようになるものと考えています。
若手の状況を理解し、共感を示す
指導において、自分の満足感を満たすことに終始しないように注意してください。たとえ理想的な仕事を遂行できても、それが若手社員の成果として認識されなければ、指導の効果は半減します。
もし先輩として目指したい方向性があるのであれば、それを若手社員自身が気付けるよう問いかけてください。そして、若手がその答えにたどり着いたときには、それを若手自身の手柄として認めてあげることで、より大きな自信を持たせることができます。若手が自分の力で仕事を進める方法を学ぶことは、職場全体の成長に欠かせません。互いに学び合える環境を前提に考えれば、自然とこうした対応が可能になるでしょう。
まとめ
職場は学びと成長の場です。若手社員が自信を持って前進できるよう、経験者の助言は支えになるべきものです。また、経験者も若手の意見や行動を通じて新たな視点を学ぶことができます。この相互作用が職場の信頼と成果を生む鍵となります。
ここまで読んでいただいた方の中には、「理想論では」と感じる方もいると思います。ですが、コミュニケーションの工夫を通じてお互いを尊重し、学び合える職場環境をあきらめずに作り続けていきたいですね。
